英語教員ワークショップの必要性!
季節も夏との境目がよくわからないまま既に秋ですね。でも何かを始めるのに良い季節になったとも言えます。新たに始めることの一つに、英語学習を加えていただけましたら何よりです。
さて前回までの続きとして、大学入試改革の枠組みで新たに変わろうとしてしている英語教育について、少しだけお話しさせてください。現在、社会人と中学、高校生、更には大学生までの指導をさせていただく中で、やはり強く感じるのは中学、高校時代の英語教育の在り方であると痛感せざるを得ません。大人になって仕事等の必要性から、英語を新たに一から学び直さなければならないのは何故なのでしょうか。その答えは、これまでもお話ししてきた中学・高校の英語教育の中にあることが、最近殊に自分自身の中で明確になってきました。
大学入試改革の柱の一つである英語教育の転換は、ある意味好ましいことであるでしょう。英語を言葉として捉え運用力養成重視の内容へと変貌させる大義は、確かに方向性としては好ましいことなのかもしれません。ただそれを実現するために、日米の民間機関が実施する英語能力検査試験、例えば英検、TOEFL、IELTSの受験を積極的に進めることを学校側に促すことは、果たして妥当な判断なのでしょうか。試験そのものに問題があるというわけではなく、それらを導入するために準備段階として何が必要なのかを考え、体制を確立することが大切なのではという思いをいつもながら強く感じます。
当方の教室のある高校1年生の学校(都立高校)では、英語コミュニケーションの授業を日本人の教員が授業のうちかなりの割合で英語によって説明・指導しているそうです。教科書の内容をコンピューターデータに落とし、プロジェクターを使ってスクリーンに映し出して内容説明するそうですが、ほとんどの生徒がそれまでこうした形態の授業経験がないため困惑するばかりで身につくものが極めて少ないようです。試みとしては、先進的要素があり悪い事ではないにしても、言葉を学ぶには段階があることを認識して実践することもまた必要なことです。
高校でこうした授業をいきなり実施するのではなく、中学校の初めの時期に聞く、読む、文法をバランスよく組み合わせた統合型授業を実践し、中学3年から英語を話す練習を始め、高校で英語のみの授業を実施していくというような一連の繋がりが不可欠に思えてなりません。
もう一つ重要なことは、前にもお伝えしましたように教える側の技術向上を図ること。上記の学校の日本人教員の方は無論英語の口頭能力向上のための努力をされた後に授業を担当されているのだとは思いますが、どうも英語表現、特にワードチョイス、発音に多少の問題があるのも事実なようです。これは個々の教師の方々の力量に学校側が任せすぎるから起こることで、ご本人に全て責任がある訳ではないと思います。今、学校側という言葉を使いましたが、それは敢えて言えば文科省のことであり、文科省が建前的な英語教育改革ではなく教員の方々の研修制度を拡充させ土台から築きあげていくことの必要性を意味するものです。
TOEFLやIELTSを本当に日本の大学までの英語教育に何らかの形で導入するのであれば、上記の対応は一刻も早く着手することが肝要であると感じます。当教室でも新たなプランを模索中です。それは、中学高校の教員の方々と行う英語教授のためのワークショップです。教員の方々の英語力向上と英語による教授法を共に学べる機会を、今後設けることを計画してみようと思っています。
身近にこうしたワークショップに興味のあられる教員の方がいらしたら、是非こんな計画があることお伝えいただけますでしょうか。微力ながら共に成長していくための行動を開始してみようと思います。